イノP応援団 フォトライターの髙木あゆみです!
今回は、令和8年熊本地震特別版をお送りします。
イノP代表の稲葉たっちゃんと、前代表の宮川将人さんは、発災翌日からあちこちを回り、支援に走っていました。その中で、今、たっちゃんが連日通っているのが吉田牧場です。
イノPの拠点と同じ宇城市三角町・戸馳島にある吉田牧場では700頭の牛を飼育しています。これまで、イノシシが牛舎の餌を求めて出没するお話を伺ったり、秋の戸馳島収穫祭で見学させていただいたこともある牧場です。
その吉田牧場で、地震発生の2日後、7月30日から牛たちに必要な水が出ない状況になっていると聞き、お話を伺ってきました。

牛たちを襲う「水不足」という危機
この日の気温は、熊本で観測史上最高の38.9度。ここ戸馳島にも強い日差しが照りつけていました。牛たちは、いくつもの大型ファンと屋根の下で暑さをしのいでいました。少し前に病気になった仔牛もいて、立つことができないその子に、職員さんが一生懸命水分を取らせていました。
牛も熱中症になるそうです。幸い電気は通っているため、ファンはフル稼働していました。
さて、今回の課題は「水」です。
この暑さの中、せめて水が十分にないと命の危機に晒されます。


700頭の命をつなぐ給水作業
牛一頭が1日に飲む水の量は30リットル以上。暑さで飲む量が増えるこの時期、700頭いる吉田牧場では、1日におよそ27トンもの水が必要になります。
しかし、牧場は高台にあるため、島の貯水タンクから水を引き上げることができず、牛舎まで水が届かないという事態になっています。戸馳島の断水は解消されていますが、牛舎までは水が上げられないということだそうです。
阿蘇・産山村の畜産農家仲間がすぐに給水車を手配してくれたほか、吉田さんご自身でも手配し、3台の給水車で片道40分ほどかけて宇土市へ給水に向かい、戸馳島まで運ぶという作業を連日続けています。その手伝いに、たっちゃんも通っています。4トンの給水車3台で、それぞれ3〜4往復しながら牛たちの飲み水を確保しています。
給水するのも、給水した水を牧場のタンクへ入れるのにも時間がかかります。その間が束の間の休息のようです。



入れ終われば、また給水へ向かう。その繰り返しです。道も地震によって隆起していたり、亀裂が入っていたりする場所があり、いつもよりも注意が必要です。一周にかかる時間は1時間半から2時間。こうして人海戦術でどうにか水を確保しています。

仲間がつなぐ命のリレー
駆けつけている畜産仲間の井さんのところでは、幸い、地震の被害は大きくなかったそうです。繁忙期が戸馳島とは少しずれているため、スピーディに駆けつけてくださいました。とはいえ、畜産の現場に休みはありません。朝からご自身の仕事の段取りをつけて、産山村から3時間かけて戸馳島に来ています。

水を提供されているのは、宇土市のきゅうり農家の郷さん。
大きな被害はなかったものの、電気が止まったことで自動散水システムが動かず、枯れてしまったきゅうりもあったそうです。
郷さんの田んぼの藁を、吉田さんの牧場の牛たちの餌にするというつながりがあり、こうして力を貸してくださっています。


暑さと稲刈り、重なる負担
戸馳島は、ちょうど稲刈りの時期。稲を刈った後の藁は、ロールにして発酵させ、来年の牛の餌になります。今は藁の収穫も重なるタイミングで、吉田牧場にとって大きな負担となっています。
収穫しなければ、来年の藁が足りなくなる。だから休むわけにはいきません。

「まずは牛たちの命を守る」

吉田牧場の吉田さんは、
「各地で断水が続き、人の飲み水でさえ大変な時。牛の飲み水が欲しいとは言えないです」
と話されました。
吉田さんがいれば、牛たちは寄ってきます。じゃれてくる子もいました。
「かわいかですよ」と言って吉田さんは撫でます。
吉田さんご自身も被災しています。それでも、まずは牛たちの命を守ることを最優先にされています。
台風の多い九州ですから、ある程度の備えはしていたそうです。それでも起こったこの事態。先の見えない断水に、疲れがにじんでいました。

いろんな視察やセミナーが延期になったからこそ、「できるときに、できることをしよう!」と、頼もしいたっちゃんは今日も動き回っています。命を守りたいという思いを行動に変えるのがイノPらしいです。
イオンモールで取り残されていた猫カフェの猫たちを心配する声は、本当にたくさんありました。同じように、暑さと断水の中で生きる牛たちも救われて欲しい思いです。
この暑さと断水を、どうかみんなで乗り越えられますように。そして大切な命が守られますようにと願うばかりです。





