「守る」ことから始める鳥獣被害対策|水俣市の研修会に参加しました

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地震の被害に遭われた皆様に心よりお見舞い申し上げます。弊社では現在も被災者支援を継続しておりますが、地域を守るための通常活動(鳥獣被害対策支援)についても順次ご報告してまいります。今回は、発災前に実施した鳥獣被害対策研修の様子をお届けします。
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イノP応援団 フォトライターの髙木あゆみです。

今回は、水俣市で開催された、県南地域の農家の方を中心とした鳥獣被害対策の研修会についてご紹介します。

この日行われたのは、「芦北地域における広域的な鳥獣被害防止対策に係る研修会」。

熊本県のむらづくり課や県南の農林水産科、森林組合、農業普及振興課などが集まり、地域の方に向けて、鳥獣被害の現状や補助制度、対策事例などが紹介されました。

当日は農家の方を中心に、約30名が参加しました。

目次

県南地域ではシカやイノシシによる被害が深刻に

県南地域では、シカやイノシシによる農林業被害が深刻になっています。

特にシカは数が多く、食害によって森の下草などが失われ、裸地化している場所もあるのだそうです。

イノシシも決して少なくありません。ちょうどこれからの時期は、イノシシが出産し、親子で行動する姿を見かける機会も増えてきます。シカもイノシシも、どちらも地域で対策していかなければならない存在です。

では、農作物を守るため、地域を守るために、どんなことができるのでしょうか。

今回の研修では、「どう守るか」「どんな行動が地域を守ることにつながるのか」を軸に話をしました。

鳥獣被害から農地を守るためにできること

鳥獣被害対策というと、「捕獲」を思い浮かべる方も多いかもしれません。

もちろん捕獲も大切です。
しかし、農地への被害を防ぐためには、まず動物を農地に近づけない「守り」を固めることが重要です。

今回お伝えしたのは、大きく3つのポイントです。

柵で農地をしっかり守る

柵は、設置すれば終わりではありません。

・柵の種類を知り、地域や農地に合ったものを選ぶ
・動物が侵入しにくいよう、効果的に設置する
・設置後も定期的に点検し、草刈りをし、適切に管理する

せっかく柵を設置しても、隙間があれば動物はそこから入ってきます。
「柵を張る」だけではなく、「柵をきちんと機能させる」ことが大切です。

餌付けにつながるものを残さない

動物にとって「ここに来れば食べ物がある」という環境をつくらないことも重要です。

・緑肥や農作物の残渣をすき込む
・残渣は動物が近づけない場所に捨てる
・収穫しない果樹をそのままにしない

人間にとっては「これくらいなら」と思うものでも、野生動物にとっては貴重な餌になることがあります。

「餌付けをしない」という意識を地域全体で持つことが、被害を減らすことにつながります。

動物が潜みにくい環境をつくる

耕作放棄地や、草木が生い茂った場所は、野生動物にとって身を隠しやすい場所になります。

そのため、

・潜み場となる耕作放棄地を管理する
・木を伐採する
・草刈りをする

など、動物が近づきにくい環境をつくることも対策のひとつです。こう

高齢化・離農の問題と鳥獣対策

ここまで紹介したような対策は、一人ひとりの農地を守るために大切なことです。

一方で、鳥獣被害という地域課題を考えたとき、個人の努力だけでは解決が難しい場面も増えています。

実際、これまで維持管理できていた農地も、離農や高齢化によって、これまでと同じように管理することが難しくなっています。

「守れるところは守る。でも、すべてをこれまで通り守るのは難しい」

そんな現実も、地域では出てきています。

今回の研修会でも、まさにこの問題について参加者から質問がありました。

県からは、守れる農地と管理が難しい農地について、個人だけで考えるのではなく地域計画の中で地域全体として話し合っていくことが大切だという話がありました。

鳥獣被害対策は、農家一人ひとりの問題ではなく、地域全体で考える地域課題です。

イノPが「伴走支援」に力を入れる理由

ジビエ加工の収益化についての質問がありました。
少し前までのイノPは、ジビエの加工・販売を収入の柱として事業を行っていました。

そこから現在は、行政向けの伴走支援へと活動の軸をシフトしています。

きっかけのひとつは、担い手が不在になったこと。
そして、もうひとつ大きかったのが、イノシシの繁殖力のすさまじさでした。

イノシシは繁殖力が高く、温暖化や富栄養化などの影響も重なり、一回の妊娠で出産する赤ちゃんの数も増えていっています。
捕獲によって個体数を減らすためには、全体の約7割を捕獲しなければならないということも分かってきました。

もちろん捕獲は重要です。
でも、この増え方を考えると捕獲だけでは地域全体の鳥獣被害を解決することはできません。

そして個人で取り組む限界も知っているからこそ大切にしているのが、「地域全体で鳥獣害問題を解決する」という視点です。
一つの農地、一つの地域だけではなく、広い範囲で社会的な効果を生み出すために、イノPは行政への伴走支援へと活動の幅を広げています。

参加者からも、現場ならではの質問が

今回の研修会では、参加者からもさまざまな質問が出ました。

「柵を設置しても隙間から動物が入ってくる。山側に柵を設置することはできないの?」

これは講演やセミナーの場でよく聞かれる質問です。
たっちゃんの返答はこうでした。

過去には山側に柵を張る対策も行われましたが、草刈りがより大変になったり、柵が山と同化して管理しづらくなったりするなど、別の問題も生じたそうです。

結果として、現在は畑を囲う方法が主流となっています。

ですが今後、「餌付けをストップする」という視点で、地域で話し合いのうえ、山側での対策をする可能性も出てくるかもしれません。

鳥獣被害対策は「地域で守る」時代へ

鳥獣対策の最初の一歩として大切な「守り」。

柵を設置する。

餌になるものを残さない。

動物が潜みにくい環境をつくる。

その先に、捕獲が見えてきます。

こうした一つひとつの取り組みを、地域でどう続けていくのか。

人口減少や高齢化によって、地域の農地を取り巻く環境も変化しています。特に地方へ行けばそれは顕著のように見えます。社会は変化しつつも課題は変わらずあるので、協力しあって効果を高めていく必要性を、さらに感じた研修会でした。

最後はいつものお土産、電気柵の電線の高さを確認するための秘策の棒!
ついつい「このくらいだろう」とズレがちな高さを、確認して回る相棒でした。

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