イノP応援団フォトライターの髙木あゆみです!
先日、鹿児島県議会産業経済委員会の皆さまが視察調査のためにお越しくださいました。その様子をレポートします!

鹿児島県議会の皆さまと鳥獣害対策について意見交換
まずは座学からスタートです。

「鳥獣被害は、その年だけの災害なのか?」
そんな問いが投げかけられました。
もし一時的な災害であれば、簡易的な対策で乗り切ることもできるかもしれません。しかし、鳥獣被害は自然に減るものではありません。
農業を営む上では、いまや手間や労力をかけて対策を行うことが前提となります。さらに、農地整備や地域づくりを考える際にも欠かせない重要な課題です。
鹿児島県も熊本県と同様に鳥獣被害が多く、山が深い地域ではサルによる被害も深刻だそうです。
熊本での事例を紹介しながら、「鹿児島ではどう活かせるだろうか」という視点で考えていただきました。


ICTを活用した鳥獣害対策
「どうやって農業と鳥獣害対策を両立するのか?」
その答えの一つがICTの活用です。
スマートフォンの使い方を高齢世代に教えることは簡単ではありません。しかし、それをきっかけにスマホを使いこなせるようになったり、新たなコミュニケーションが生まれたりと、思わぬ効果もありました。
実は、最初からICTに詳しかったわけではありません。
さまざまなメーカーの機器のテスターとして実証実験を重ね、試行錯誤しながら知識を積み上げてきました。
その後はSNSを通じて情報が集まるようになり、多くの方々とのつながりも生まれました。また、テレビ番組「情熱大陸」への出演をきっかけに新たな出会いも増え、分からないことを一つずつ学びながら取り組みを広げてきました。
私自身も知らなかった部分ですが、なぜ多くの企業や大学、研究機関と連携できているのか、その背景を改めて知る機会になりました。
もともとICTが得意だったわけではなく、試行錯誤の連続。
「自分たちだけでは考えられないことはたくさんある。第三者と一緒に学ぶことが大切」
そんな考えのもと、多くの方々にブラッシュアップしていただきながら今の活動につながっているそうです。
ICT導入の課題
ICT導入には国の補助制度がありますが、課題となるのはランニングコストです。
導入費用には国からの補助があっても、その先にあるランニングコストへの補助はほとんどありません。
自治体によっては行政が負担する場合もあれば、地元の人々が費用を負担する場合もあります。また、プリペイド式の買い切りタイプなどもあるため、イノPではそれぞれの地域に合った仕組みを提案しています。
行政と連携した鳥獣害対策の重要性
地域で鳥獣害対策を進めるうえで欠かせないのが行政のサポートです。
一方で、行政担当者は数年ごとに異動することが一般的です。
その点について意見を求められた際、たっちゃんは次のように話しました。
「異動は仕方のないことですが、知識や経験が蓄積されたタイミングで交代になると少しもったいないと感じます。市町村の担当者には、できれば5〜6年ほど継続して関わっていただけるとありがたいですね。」
さらに、
「狩猟免許を持つ公務員『ガバメントハンター』が地域の状況を引き継ぎながら活動できれば、継続的で一貫性のある対策につながるのではないか」
と提案しました。
鹿児島県における鳥獣害対策の課題

すでにイノPでは鹿児島県から受託し、地域での勉強会などを行っています。
たっちゃんが感じた鹿児島県の課題は、
「守る対策が手薄で、獲る対策に偏りがち」
という点でした。
実際に被害地域を調査すると、防護柵の設置が十分でない場所も見受けられたそうです。
数年前のデータではありますが、国の補助を活用して設置された防護柵の総延長は、
- 熊本県:約4,200km
- 鹿児島県:約2,800km
となっています。
また、防護柵の中には農家自身が設置しなければ補助対象とならない制度もあり、高齢化が進む地域では大きな負担となっています。
土地改良事業を行う際には、防護柵の設置を前提とした計画づくりや、草刈りなどの維持管理の負担を減らせる仕組みづくりも重要です。
そのためには、住民向け勉強会の充実と行政担当者の知識向上が必要ではないかと話されました。


防護柵ショールームを視察
続いて、完成したばかりの防護柵ショールームをご案内しました。
ショールームには、
- シカ対策用
- イノシシ対策用
- 小動物対策用
- サル対策用
- アマミノクロウサギ対策用
など、さまざまな防護柵が展示されています。

百聞は一見に如かず。
実際に比較しながら見ることで、それぞれの違いが一目で理解できます。
奄美大島から参加された議員さんも、アマミノクロウサギ対策用の柵に大変驚かれていました。
今後、島でさらに普及が進んでいくことが期待されます。



減溶化施設による持続可能な鳥獣害対策
最後にご案内したのは減溶化施設です。
減溶化施設とは、捕獲した動物を数時間で土状の粉末へ処理できる設備です。


たっちゃんがよく口にするのが、
「ジビエの前に減溶化施設!」
という言葉です。
その理由は、解体施設を整備し、ジビエ事業だけで採算を確保することが非常に難しいからです。
まずは人的負担の少ない減溶化施設を導入し、
- どのような個体が捕獲されるのか
- 地域にはどのような特徴があるのか
を把握してから次のステップへ進んでも遅くはありません。
施設内には独特の匂いもありますが、視察された方からは
「少しおいしそうな香りがします」という感想も聞かれました。笑


鹿児島県でのさらなる鳥獣害対策の推進に期待
イノPはすでに鹿児島県から受託し、各地で勉強会や研修を実施しています。
今回の視察を通して県議会議員の皆さまの理解がさらに深まることで、鹿児島県の鳥獣害対策も新たな一歩を踏み出すかもしれません。
夏日の暑い中、ご視察いただいた皆さま、本当にお疲れさまでした!



